vol.20:マイカーのディーラーにて
用を済ませた後は、少し早めにディーラーに戻りました。
平日だからか、たまたまか、店内にはお客さんらしき人は一人もおりません。予定の時間まではまだありましたので、スマホでネットニュースを見ていました。そこへ(購入した時の営業担当者)Aさんが現れて僕の話し相手になってくれました。
今日は暇で時間を持て余しているみたいです。Aさんには、以前、僕の仕事内容やウィッグを着けていることなど話したことがあります。以下は、Aさんとの様々な世間話の中で出てきた、ウィッグ(カツラ)の会話部分だけをチョイスしました。もちろん、Aさんからは承諾を得て掲載しています。記憶に基づいて書きましたので言葉の表現・文言は多少異なります。
・・・他の話題からウィッグの話へ切り替わったところからです・・・
Aさん
「(僕の頭を見ながら)そういえば、梅田さんはまだ着けていらっしゃるんですか?」
梅田
「(笑顔)どっちだと思います?」
Aさん
「えぇ~・・・?(僕の頭をじっくり見て)、うーん・・ぶっちゃけまったくわかりません!だって普通にしか見えないですもん」
梅田
「それはありがとうございます。もちろん今も着けてますよ。うちのお客様からの評判も良いですから(笑顔)」
Aさん
「ですよね!(僕の頭を見ながら)どうみても本当の髪にしか見えないですもんね。・・・(小声で)ここだけの話ですけど、実はうちのお客様の中にも着けてる方が何人かいらっしゃるんですよ」
梅田
「え?どうして着けてるってわかるんですか?そのお客さんがAさんにカミングアウトでもされたんですか?」
Aさん
「いえいえ、そんなこと私に言うわけないじゃないですか(半笑顔)。(小声で)だって、いかにも着けてますっていう感じで不自然なんですから見てすぐにわかりますよ。だから、そういうお客様とは極力頭を見ないようにしながら会話しますので気を遣いますよ。いっそのこと梅田さんにご紹介したいくらいですよ、本当に。でもご紹介なんてできるわけないんですけどね(笑)」
梅田
「そうなんですか・・でも、うちのお客様で見てわかるような不自然な方はいらっしゃらないので、他社さんのお客様かな?じゃあ、その方に不自然ですよって伝えて紹介してくださいよ(笑)・・(Aさんの表情から笑顔が消えて「え?」となる)・・いえいえ、冗談ですよ冗談(笑)。かつら屋さんを紹介しますなんて言ったら大問題になりますよね(笑)下手すりゃAさんクビになるんじゃないですか?(笑笑)」
Aさん
「・・かもしれないです(苦笑)・・・でも梅田さんは気合入ってますよね。だって自分の髪があるのに、確か・・剃って着けてるんでしたよね?いくら仕事だからっていっても、私だったらそこまではできませんよ(苦笑)。さすがは梅田さん!」
梅田
「ありがとうございます。でも、嫌々剃って着けてるわけじゃなくて結構気に入ってますよ(笑顔)僕の自毛は生え方に少し癖があって髪型によってはやりにくさがあったんですよね。それがウィッグだと簡単にできるんですよ(笑顔)」
Aさん
「へぇーそういうものですかぁ。あぁでも、剃らないと着けられないものなんですか?」
梅田
「いえいえ着けられますよ。剃らないと着けられないというわけじゃないんで。ただ、剃ることによって日常生活でも着けなきゃならなくなる・・そういう状況にしたかっただけなんですよね」(*アートリイドでは剃らないで着けられるお客様の方が多いです)
Aさん
「え?それはどういうことですか?」
梅田
「だって髪がある状態で着けても、いつでもどこでも外せるわけじゃないですか?でも剃って着けると、剃ったところを人目に晒したくないから自宅以外では外せなくなる。着けている方は、自宅以外ではウィッグを外さない生活を送っているわけですよ。なら、自分も同じ立場になればウィッグでの生活がどういうものなのかわかると思ったんですよ・・「体感して知る」って大切ですよね。それに、剃るなんて簡単な事でしょ?抜くわけじゃないし」
Aさん
「簡単?・・ですか?・・・いえいえ、決して簡単じゃないですよね(苦笑)。・・・っていうか、確かそのお話、以前お聞きしましたよね、すみません、今思い出しました。あと確か、ウィッグの品質向上のためにも着けてるんでしたよね?」
梅田
「あれ?今の話以前しましたっけ?・・あぁ、そうですか、僕も話したことを忘れてました(笑)。・・・そうですね、品質向上のためにもですね。これも以前お話したかもしれませんが、着けて生活してみると良し悪しがわかって改善点も見つかりますし、お客様の質問にも的確に答えられますよ(自信の笑み)。以前大手メーカーに勤めていた頃の自分と今の自分を比べるとぜんぜん違いますね。今思うとあの頃の自分はまだまだだったんだなぁと思いますよ」
Aさん
「あれ?以前は大手メーカーさんでお勤めだったんですか?それは初耳ですね。ちなみにどちらの大手さんですか?それにどうして辞めたんですか?」
梅田
「(以前在籍していた大手メーカーは)〇〇ですよ。辞めた理由は、〇〇と同等、又はそれ以上の品質のウィッグをもっともっと安くお客様に提供できるんじゃないかな?と思ったからです。但し、その時点ではまだまだ勉強不足の部分もあったので、大手退社後すぐに起業したわけじゃないんですよ。その後は中堅の会社に入社して、更に勉強してから起業したんですよね。で、話は戻りますが、〇〇に勤めていた頃に思っていた事ですけど、とにかく高い。高いが故にほとんどのお客様がローンで購入するわけですが、ローンの支払いが終わる前にウィッグが傷んで作り替えになったりするケースもありましたね」
Aさん
「えぇー!?それはたまりませんね。車業界の者として悪い例えになっちゃいますけど車でいうと、事故で全損してしまったのにローンはまだ残っているようなものですもんね。・・(恐る恐る)ちなみに大手さんっておいくらくらいするものなんですか?」
梅田
「僕が在籍していた〇〇じゃなくて両大手さんの最近の価格でいいですか?うちには両大手さんに通われているお客様もご相談に来られるんですけど、その中には契約書や見積書を持参される方もいらっしゃるんですよ。それを見る限り〇〇円~〇〇円の価格帯ってところじゃないですかね」
Aさん
「〇〇円~〇〇円!?・・ひぇ~、大手ってそんなに高いんですかぁ!?」
梅田
「他にも色んな話を聞きますよ。自毛のカットやウィッグのメンテナンスなどで通っているとそのたびに新たな高額契約を執拗に迫ってくるとか。ご愛用中のウィッグは傷みも少なくてまだまだ普通にご使用できる状態なのに追加契約がしつこくて本当に嫌になるとか」
Aさん
「そうなんですか?・・それは本当に嫌ですね!そりゃ通いたくなくなりますよ。・・私は梅田さんのところの価格を知ってますから、つい比べちゃいますけどさすがに高すぎですよねぇ、大手メーカーは。確か、ウィッグって寿命がきたら新しく作り替えが必要なものなんでしょう?だったら大手で何十年も作り替え続けていたら凄い金額になりそうですよね。私の髪は今のところ大丈夫ですけど、父親が禿げているのでいつかは・・と、覚悟は
してます。価格も含めて梅田さんのところなら安心なんでその時は是非お願いします!」
・・・未来のお客様を一人獲得した瞬間でした・・・
この後、他の話題に切り替わっていき1年点検が終了してマイカーが戻ってきました。
体験記というか、Aさんとのただの会話でした・・・趣旨が少し違ってしまいすみません。でも、最後までお読み頂き誠にありがとうございます!